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『古典物語』第三章「静麗の妖艶な舞」

数日が過ぎたころ、清穆が手土産を持って森にやってきた。

「静麗さん、こんにちは」
「わ、清穆さま、おひさしぶりです」
 静麗は、長椅子から飛び跳ねる様に立ち上がり、満面の笑みで清穆を迎えた。
「このお菓子、とても美味しいので持参しました」
 清穆も微笑みながら言った。
「開けてもよろしいですか?」
「どうぞどうぞ」
「まあ、綺麗!」
 静麗は、目を輝かして喜んでいる。
 そんな無邪気な静麗の姿を見て、清穆は目を細めた。
 
 上等の餡で作られた、上品なお菓子であった。

「どうしましょ? 舞を先にしましょうか? それとも……」
 と静麗が言い終わる前に
「舞を先に観たいです」
 と 清穆は言った。
「それでは、少し着替えなどの準備をしますので、外の切り株にお座りになってお待ちくださいませ」
 
 清穆は外に出て、静麗に言われた切り株に腰を下ろす。
 直ぐにリスや、ウサギが人懐っこく寄ってきた。

 暫くして静麗が青い衣装に羽衣を羽織って外に出てきた。
 そして、何やら綺麗な小箱を、もう一つの切り株の上に置いた。
「これは何ですか?」と問う清穆に
「オルゴールです」と静麗は答えた。
「ああ、これがオルゴールというものですか」
「はい、とっても綺麗な音が出るのですよ」
 静麗はそう言って、羽織っていた羽衣を脱ぎ、たたんでオルゴールの横に置いた。

 静麗の青い衣装を纏った身体が眩しくて、目のやり場に困る清穆であった。
 


 静麗はオルゴールのふたを開けて、その音色に合わせて美しく舞い始める。


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