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『古典物語』第四章「清穆の想い」

宮殿に戻ると、父帝に清穆は問い質される。
「前に、森の入り口で派閥族に襲われたそうではないか!」
「はい、しかしそれをどうしてご存じなのですか?」
「人伝に噂が耳に入ったのだ。それで、その後は何も起きていないのか?」
「はい、大丈夫です」
「今後も何が起きるかわからない。くれぐれも気をつけなさい」
 
 父帝はそのあとも話を続ける。 
「清穆よ、お前もそろそろ妻を迎えなければいけないのう」
「……」清穆は言葉が出なかった。
「どうした? 好いている女性がおるのか?」
「今は、まだ何とも言えません」
 清穆は、そう答えるので精一杯であった。
「まあいい。もしもいるのなら、その内、会わせなさい」
 父帝は、そう言い残して清穆の部屋から立ち去った。

 今の清穆の心は静麗のことで一杯であった。
 けれど、静麗は森の精で、人ではないのだ。ましてやその姿は、おそらく清穆にしか見えないのだ。
 しかし、今日は確かに人の温もりを感じた清穆であった。
 清穆は、静麗がどうして人の姿をして自分の前に現れたのかを考えてみた。静麗の言葉を思い出してみた。
「こちらで時々森林浴をされる清穆さまのことを、見ていました」
「わたくしが望んだからです」

 静麗は今後をどんな風になりたいと思っているのだろうか?

 愛しい静麗を出来ることなら皇妃に迎えたい。


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