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『古典物語』最終章「宮殿へ」

「静麗? 貴方の姿は私にしか見えないのでしょうか? 人間らしくなるにつれ他の者にも姿が見えてくるのではないのでしょうか?」清穆は、ふと気になり訊いてみた。
「もう見えているのかもしれません」と静麗は、静かに答えた。
「ならば、この森に一人でいるのは、危険ではないですか?」
「そうかもしれません。でも私にはここしか居場所が無いのです」静麗は涙目で言った。

「静麗? 私の宮殿へ来ませんか?」
「え? 宮殿に?」
「はい、母上は静麗をきっと気に入ると思います」
「わたしなどが宮殿へ上がってよいのでしょうか?」
「宮殿に住み、所作などを身につけて、やがては、私のお妃にと思います」
「清穆さま、夢のようです」と清穆の胸にしがみつく静麗を、清穆は優しく抱きしめた。

 清穆に手伝ってもらい、荷造りをする静麗……
 荷物は少ないので、直ぐに終わる。

 外に出たふたりは大きく呼吸をした。
 この森の澄んだ空気を忘れない様にと……

 静麗は、何やらお祈りのような仕草をする。その瞬間、森の静麗の家は消えた。
 森の小動物たちにお別れをする静麗。

 そんな姿を見た清穆は、責任と同時に何があっても静麗を守ると強く決心していた。


 … 完



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